以前旧正月に「日本場木屋」の包丁を頂いたことがありました。その切れ味など手持ち素晴らしかったのでご紹介しましょう。
桑名刃物と日本橋木屋の歴史
ひと昔、日本橋木屋といえば刃物、三味線、化粧品、文房具など様々な部類での歴史があったのですが、現在「木屋」の名を残しているのは刃物だけになりました。
刃物の木屋は寛政四年四月創立(1792年)。初代・加藤伊助が本家の木屋から包丁ビジネスに乗り出したのがきっかけと言われています。
加藤伊助の出身地である、伊勢国桑名(くわなのこおり・現在の三重県桑名市)は、関ヶ原の戦いのときに鉄砲玉を製造したことに始まり昔から鋳物がさかんな地域です。また、桑名は室町時代から多くの刀工を輩出した地域でもあります。「桑名刃物」は三重の伝統工芸品となっています。
このようなルーツを持つ刃物の木屋包丁はその切れ味が評判です。
コスミック團十郎(全鋼) 牛刀 180mm (生産終了)
日本橋木屋の「コスミック團十郎」シリーズは生産中止とのことです…残念(2020年現在)

歌舞伎役者市川團十郎(だんじゅうろう)にちなんで名づけられた木屋のオリジナル商品の最高級品シリーズ。
コスミック鋼というオリジナルの鋼は「粉末製鋼法」と呼ばれる従来の製錬法とは全く異なる新しい製鋼法で作られた鋼で、かなり硬い鋼です。硬度が高く長切れ(長期にわたって切れ味が落ちない)する刃なんですね。
コスミック鋼とは
洒落た名前ですが「コスミック鋼」は金属工学的にはステンレス鋼には分類さない鋼の一種です。
特徴としては:
- ステンレスに近いくらい錆びにくい
- 炭素鋼なみに硬度が高い
- 適度な粘りがあって欠けにくい
- 砥ぎやすい
まさに、刃物にとって理想的な特殊鋼材です。

切った時の感覚、持った時の感覚はかなり良いです。バランスが良い一本だと思います。
繰り返しになりますが、残念ながら今では團十郎洋包丁の生産は終了しているようです。その代わりになりますが、私がおすすめする関孫六包丁の記事を紹介します。